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- 2018.11.05
- 東洋医学について
②漢方が良いのか、鍼が良いのか。
まず比較する方が間違っているといわれるかもしれません。
あくまで私見ですので。
消化器内科医として働いていた大阪時代
外来診療では多くの患者が精神的な要因から
消化器症状を訴えて来院されておられました。
東洋医学の勉強をまだ始めていなかった私は
西洋医学の処方で効果がなく、打つ手がなくなった時に
いわゆる1対1方式で漢方薬を処方することがありました。
この病名にこの漢方という方式です。
これでも効果を感じて頂ける患者さんがおられたのです。
「先生、すごい効いたから続けて出して」
と明るい顔で言われるので、平静を装いながら内心驚いていたことを覚えています。
子供の頃から父を尊敬していた事もあり、「東洋医学はちゃんと仙人みたいに勉強しないと使えない治療。すごいんだぞ」
とどこか過大評価していた私は、患者さんが喜んでくれてうれしい反面、複雑な気持ちでした。
「仙人みたいに勉強していなくても使えるの?」
勉強量や患者さんとの信頼関係など関係なく効果を出す漢方薬は逆にすごいけど。
その後、東洋医学の勉強を続けた私は
ある高名な先生の所に教えを乞いに通いました。
するとその先生にも言われたのです。
「元々症状があって昔の人も薬を飲んだんだから、漢方薬も1対1の処方に決まっているじゃないですか」
一つ一つの生薬に精通されている先生の言葉です。
衝撃でした。
患者さんとの信頼関係があって、効果が高まるのはどの治療も同じだけれども
漢方薬そのものが大きな力を持つことに変わりはありません。
鍼はそれだけでは何の力も持ちません。ツボを知る治療師が手に持つことで力を持ちます。
この差ではないでしょうか。
漢方薬が1対1だとはまだ思いたくありません。全く効果のない患者さんもおられるわけですから。
そこを突き詰めてこれからもやっていきたいと思います。
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